2025年3月10日、株式会社綱八代表取締役社長・東京都食品健康保険組合理事長の志村久弥さんと対談させいただきました。以下に、新宿天ぷらつな八総本店カウンターでの対談の様子をご紹介いたします。

吉澤 :
今日はどうぞよろしくお願いします。
我が家の慶事は我々夫婦結婚式の司会を皮切りに、今まで全てつな八の志村久弥くんにお任せしています。今日は個人事業で始めることになった、Well-Being Next Stageの新しい門出の日なので、是非志村くんとWell-Beingについてお話ししたいなと思って対談をお願いしました。
志村 :
今日はどうぞよろしくお願いします。
この度は、起業おめでとうございます。
そういう思いがあったわけですね。ありがとうございます。
まあ、シャンパンで乾杯し、うちの旨い天ぷらを味わっていただきながらお話ししましょう。

吉澤 :
学生時代慶應義塾大学商学部で同じクラスでした。卒業してから社会に出て鬱を患ったり随分苦労しました。
上司からのきつい表現で指導されたものをパワハラを受けたようにとらえ、そのままメンタルがやられてしまったのだなあと今思っています。
全て一方的に相手が悪いわけではなく、上司との人間関係の作り方や対話の仕方が随分下手だったなあと、還暦すぎて脳科学(選択理論心理学)やWell-Beingの学びに出会って学んだ今感じています。
志村 :
どういう思いで今回起業を思い立ったのですか?
吉澤 :
企業の従業員のWell-Being度(幸福度)が高いと、企業価値も高くなり、創造性は3倍、生産性は31%も高まることが欧米のWell-Beingの研究で明らかになっています。自分が企業の従業員として今までとても苦労してきたら、Wel-Beingな風土のある企業で、皆幸せに暮らせたらいいなって思ったのです。
志村くん、このような観点でつな八でどのような取り組みをされていますか?
志村 :
Well-Beingという言葉は今流行りですが、まだまだ勉強不足でちょっとピンとがあっているか心配ですが、
僕らの天ぷら専門店は天ぷら職人集団であり、従業員が生き生きと、前向きに美味しさをお客様に届けて言って欲しいいと思っているし、彼らがそういう気持ちがないと調理にしてもサーブにしても、美味しさがお客様に伝わらないと思っています。
クレドに明記しているのだけど、従業員は「人材」ではなく「人財」と捉えています。
吉澤 :
そうですよね。つな八には素晴らしいクレドがありますよね。ちょっとご紹介しましょう。
【クレド】
綱八の使命は、『お客様満足提供業』=For Your Dreamsです。天ぷらそして広く『食』を通じて、お客様に「旨い、感じが好い、お値打ち」と心底思っていただける店作りを大切にします。
我々は天ぷら及び食の継承者並びに挑戦者としての誇りを忘れる事無く『技』の鍛錬を怠りません。
我々にとって食材は『食財』です。旨いの源です。食財を大切に常に最高の状態でお客様にご提供します。
我々にとって人材は『人財』です。感じが好いの源です。お客様にご満足を提供するのは人財の力です。常に人財の育成とやる気の向上に努めます。
お値打ちはお客様からの綱八へのご評価です。お客様お一人おひとりのライフスタイルに合ったご満足の時間と空間の提供を常に行います。
吉澤 :
このクレド志村社長がご自分の思いを入れて考えたのですか?
志村 :
いやいや従業員みんなで考えたんです。
吉澤 :
志村くん1人じゃなくて、従業員みんなみんなで考えとは素晴らしいですよね。
このクレドを大事にしているから、つな八のどこのお店で食べても美味しい天ぷらが食べられるのですね。
昔は、総本店の天ぷら油とつのはず庵は、天ぷら油を意識的に変えていましたが、それも時代と共に均質になってきましたよね。これも従業員の皆さんで考えたのですか?
志村 :
勿論。僕にはカリスマ性もないし、やはり現場が納得して上質な天ぷらを提供するのが一番だと思っています。
今話していて感じたことは、Well-Beingの取り組みって別に構えることでなくって、今まで当たり前のようにつな八で大事にしてやってきた、まずは自分のため、従業員のため、そしてお客様が幸せになる取り組みなのかなって思いました。
吉澤 :
そうそう、その通りだと思います。
Well-beingとは、身体的にも精神的にも社会的にも満ち足りた状態を言います。
特に今までやってこられたことで、特にWell-Beingな取り組みって何かご紹介いただけますか?

志村 :
今シャンパンを飲んでいますが、やはり美味しい食事を召し上がっていただくには、美味しいお酒をと思い15年ぐらい前になりますが、まず私がソムリエ資格を取りました。「天ぷらとワインのマリアージュ」というコンセプトを打ち出しました。7、8年前から社員にもソムリエ資格取得を奨励し、今では8人に増えたんですよ。
吉澤 :
天ぷら専門店従業員に8人ソムリエがいるなんてすごいですね。
志村 :
従業員本人もモチベーションが上がるし、やっぱり天ぷらとワインや日本酒の世界をお客さんに知ってもらえることは楽しいし、お客様にも喜んでいただけるし。
本人もいいし、会社もいいし、お客様もいい。三位一体ですよね。
吉澤 :
そこまでやっているんですね。社員のモチベーション上がりますよね。
つな八がとてもいいなって思うのは、志村家のご家族皆さん仲がいいなってところですよ。弟さんととても仲が良いですよね。
社長が営業、弟さんが本社管理部門と仕入れと仕事を棲み分けしていますよね。志村くんの息子さんのお2人も、ご長男が経営ご次男は職人。 ご家族のいろいろな役割分担がきちんとしていまし、奥さん方もそれぞれお店に出ておられ、他の従業員の皆様と一緒に自然に仕事をこなしている。お母様がお店にずっと出ておられたから当たり前のようにやっておられるのだと思いますが、素晴らしいことだと思います。
志村 :
企業とはいえ、家内産業なので志村家が一つの軸として入っていてそこが拠り所となっていて、志村一族の僕らがちゃんとバランスを取ってゆくことが、祖父、父、自分と三代100年間にわたって続けられたことだと思います。時代が変われども、祖父、父親の背中を見て育ってきたことはとても大きいし、息子たちも僕らの背中を見て育っていって欲しいと思っています。
吉澤 :
今日は大好きな、つな八志村社長にとても素敵なお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。
SDGsが終わったら、次はWell-Beingの時代だとも言われています。僕の大好きなつな八はずっと素敵なお店で、これからも「ちょっとした特別な日に是非使いたいお店」でいて欲しいです。僕もぜひお手伝いさせていただきたいと思います。是非とも時代の最先端Well-Beingな老舗天ぷら屋を名乗れるように頑張ってください。
今日はどうもありがとうございました。

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